手賀沼男ヒストリー

夏は同じ頑張りで20秒遅くなる — 6年分の「暑熱税」【手賀沼男ヒストリー #12・特別編】

毎年、夏になると「最近遅くなった」と感じます。ペースが落ちる。体が重い。年齢のせいかと考えてしまう。そして秋になると、何事もなかったようにペースが戻ってくる。

6年分のデータで、この正体を確かめてみました。

同じ心拍で、月ごとのペースを比べる

ペースだけを比べても意味がありません。頑張った日と流した日が混ざるからです。そこで、平均心拍が140〜150bpmに収まったラン(5km以上)だけを抜き出しました。2020年から2026年までで543本。つまり「同じくらいの頑張り」で走った日だけです。実際、どの月も平均心拍は145〜147bpmで、ほぼ同じでした。

一番上のグラフが、その543本の月別ペース(中央値)です。上の段が月ごとのペース、下の段が年ごとの夏と冬の差です。数字にするとこうなります。

1月 5:282月 5:283月 5:204月 5:23
5月 5:286月 5:317月 5:438月 5:51
9月 5:4710月 5:4211月 5:2412月 5:26
心拍140〜150bpmで走ったときの月別ペース

冬(12〜2月)は5:28/km、夏(7〜8月)は5:47/km。同じ心拍で、夏は1kmあたり約19秒遅い。10kmなら3分以上の差です。いちばん速いのは3月の5:20、いちばん遅いのは8月の5:51でした。

逆の見方もできます。5:30〜6:00/kmで走ったランの平均心拍は、冬が141、夏が148。同じペースなら、夏は心拍が7拍高い。体にとっては、同じ練習が夏だけ重くなっているということです。

毎年、同じことが起きている

年ごとに夏と冬の差を出すと(グラフの下の段)、2021年が13秒、2022年が15秒、2023年が16秒、2024年が34秒でした。2025年は47秒ですが、この夏は股関節痛で走れない時期を含んでいるので(#6)、暑さだけの数字ではありません。

Garminには「暑熱順化」の記録も残っていて、2022年から2026年まで毎年、夏には100%に達しています。体は毎年ちゃんと暑さに慣れている。それでも、同じ心拍で20秒近く遅い。慣れても消えない分が、暑さの取り分なのだと思います。

ひとつ、まだ説明できていないことがあります。2026年の夏は、差がわずか3秒でした。今年は5月から暑熱順化が始まっていたこと、諏訪湖に向けた練習がそのまま夏に続いたことなどが考えられますが、データだけでは決められません。来年の夏も同じになるか、続けて見ていきます。

夏の「遅さ」との付き合い方

6年分を見て、自分のルールは次の3つにしました。

  • 夏はペースではなく心拍で練習を管理する。設定ペースを守ろうとすると、冬より7拍高い心拍で走ることになる。
  • 夏にペースが落ちても、衰えと判断しない。10月には戻り始め、11月には冬の水準に戻っている。
  • 夏から秋のレースは、冬の練習ペースを基準にしない。

以前の自分は、夏のたびに少し落ち込んでいました。いまは、7月にペースが落ちると「今年も暑熱税を払っている」と思うだけです。数字が分かると、気持ちの置き場所が決まります。

次回の特別編は「GPSが描いた6年の旅」。手賀沼のまわりだけを走っていたつもりが、記録には10都県・40の市区町村が残っていました。


前回: #11 諏訪湖のその先 / データソース: Garmin全記録(2020年5月〜2026年10月)の統計解析・Garmin暑熱順化データ