成長のエンジンは2回、切り替わっていた【手賀沼男ヒストリー #8・分析編】

時系列編(#2〜#7)で書いた6年間を、今度はデータ側から見ます。総量はラン13,647km・バイク12,298km・スイム178km。地球一周の約6割にあたる距離を、6年で積み上げました。この蓄積の中で、「何が私を速くしていたのか」は、じつは時期によって違っていました。

第1エンジン(2020-2022): ランニングエコノミー
同じペース帯(5:12〜5:42/km、8〜15kmの走行)で走ったときの平均心拍を、年ごとに並べるとこうなります。
2020年:157bpm → 2021年:152bpm → 2022年:146bpm
同じスピードを、11拍も安く買えるようになった。これがランニングエコノミー(燃費)の改善で、最初の2年間の成長は、主にこれでした。#2で書いた「月24kmが半年で260km」の爆発的な伸びも、#3の「レースが消えてもバイクで土台を作った2年」も、データで見れば「燃費を良くしていた期間」だったのです。
ただし2022年以降、この数字は146〜148bpmで頭打ちになります。燃費による成長は、2年で完了していました。

第2エンジン(2023-2025): 最大能力と強度配分
では2023年以降は、何で伸びたのか。VO2 maxは45(2020年・43歳)から55(2025年・48歳)へ、加齢の一般則に逆行して上昇を続けました。
同時に変わったのが、練習の強度配分です。2020年の私は、ラン時間の82%が中強度——「毎回そこそこ頑張る」典型的な初心者の走り方でした。それが年々変わり、2025年には低強度49%・中強度46%・高強度5%のメリハリ型に。楽に走る日を半分に増やした年に、VO2 maxの最高値とハーフの自己ベスト(1:33:09)が出ています。
速くなりたければ、頑張る日を減らす。 直感に反しますが、私のデータはそう言っています。
40代の含意
この「エンジンの切り替わり」は、40代から始める人にとって朗報だと思います。最初の2年は、何をしても伸びます(燃費改善)。伸びが止まったと感じたら、それは限界ではなく、エンジンの切り替え時期——量ではなく配分を変えるタイミングです。私の場合、48歳でVO2 max 55。体は、何歳からでも設計変更に応えてくれました。
次回、#9「6年分のデータが示した、故障とレースの法則」。連載で一番実用的な回です。
前回: #7 ミドル完走 / データソース: Garmin全記録2,632件の統計解析